海と空の境界線

創作や私生活での出来事を書いていきます。

【解説】Q-Q. #3 “Answer and oneirA̷_”

はじめに

 ご無沙汰しております。ふかうみです。先日に公開されました『棒バトランキング2025』にて拙作 “Answer and oneirA̷_” が9位をいただきました。久しぶりの一桁!

 

f:id:ap8vo:20260510175302j:image

 

www.nicovideo.jpこんな感じの作品です。概要欄の通り血がいっぱい出ます。

 

 改めまして、評価してくださった皆様およびご多忙にも関わらず今年もランキングを主催してくださったえくしいさんにこの場をお借りして感謝申し上げます。

 久しぶりにモチベが出てきたので、本記事ではこの作品の作成に至った経緯と、今までそんなに話したことがなかった、本作を含む私の作品の設定についてざっくりと解説していきます。かなり長くなってしまったので、本作における各場面の解説だけ読みたい方は目次から項目4まで飛んでいただくのが良いかもしれません。

 

目次

 

1. 制作・完成までの経緯

1-1. 当初の予定

 本来この作品はワールドうごメモギャラリーのサービス終了(2018.04.02)前に投稿しようと思っていた作品群のひとつでした。結局4作品しか完成しなかったのですが、当初は少なくとも7作品以上を投稿する予定でした。今思えば4作品でもよくやっていた方だと思います…。それ以上に高2-3年の受験生が何やってんだ感の方がある。そんなわけでしたので、ストーリー等の大まかな設定はこの時点で決まっていました。実際に着手したのは2020年か2022年頃だったような気がします(うろ覚え)。最初は冒頭のこのシーン↓を思いついて、

f:id:ap8vo:20260519200113j:image

基本的に画像はYouTubeのスクショです。出力するのがどうしてもめんどくて…。

 

ここまで描いて満足して放置してました。なんかもうダメそうじゃん?

1-2. 放置期間(1)

 その状態から動いたのが翌2023年。きっかけはこの作品でした。

 

『海と空の境界線』

youtu.be確認したところ23年の棒バトランキングで17位をいただいていました。感謝。

 

 これは中学2年生の頃に制作を始めたものの、実力不足で長く放置されていたものを完成させた作品でした。0-9秒ほどが2014-15年に描いた部分。その後の展開も当時の下描きやメモになるべく準拠して制作したため、今の自分では思いつけないような展開・演出が多くみられて面白いです。中二病パワーってすげー!ストーリー自体にはあまり深い意味はなく、雰囲気を楽しむことを目的とした作品と捉えていただければと。でも自分の世界観を確立した最初の作品かも?空に浮かぶ世界は自分が夢で見た景色が基になっています。私は日頃から夢日記をつけていて、創作のアイデアもよくそこから持ってきています。

 少々脱線しましたが、この作品の完成と、久々の他者に評価されるという経験、またこの作品の投稿直後にDefort(現4LAT)さん主催のオフ会に参加させていただき、他の作者と交流したことでうごメモのモチベが爆増し、また何か描こうと思って進めたのが本題の“Answer and oneirA̷_”でした。

 とはいえ、なんとか300ページほど進めたものの、結局また途中で行き詰まっちゃったんですけどね。それがここ。

f:id:ap8vo:20260519200131j:image

p. 301.実は自分の過去作品からの引用。後述するけど伝わってるのかな〜。

 この次の動作をビームを散らすように降らせるか、爆発のような演出にするかで悩み、何度も描き直すうちにやる気がなくなってしまい、ここでまた2年弱の放置期間が発生しました。この直前の予備動作があまり気に入っていなかったのもあるかも?結局爆発っぽくしましたが、完成した今でも他にもっと良いやり方があったんじゃないかと思っています。

 

1-3. 放置期間(2)~完成

 次に動いたのが昨年7月。久々に棒バトでも見ようと思って3DSを起動したところ、なぜか直後に電源が勝手に落ちました。しかも何度やっても落ちる。10分ほど繰り返すうちになんとか復活したものの、その後も1時間置きくらいに電源が落ちてしまう。恐らく3DSの上下画面の接合部の接触不良が原因かと思っていますが、このままでは見たい作品が見られないだけでなく、自身の未完成作が1つも出せないまま終わってしまう。この辺りで焦りが恐怖に変わりました。一応、2DSLLを所持しているため、そちらにデータを移して続きを描くこともできます。しかし、私は作中で3D機能を多用する都合、できる限り3DSを使いたいたい。故に壊れるのは本当にまずい。

 とにかく、今ある作品を1つでも仕上げなければ絶対に後悔すると思い、途中作品のうち最も進んでいた今作の制作を再開しました。当然壊れかけの3DSを使っての作業でしたので、制作中にも何度か電源が落ちて更新分のデータを吹っ飛ばしています。そのため、途中からは大事故を防ぐために1ページ進む度に保存、必要に応じて通信機能を用いて2DSでもバックアップを取るという作業を繰り返していました。幸い(?)休学中で時間だけはあったため、ここから1ヶ月半ほど必死に作業して残りを描き上げた、というわけでした。ただ、焦りもあってかこの期間はまともに寝付けず、毎日の睡眠時間が3-4時間、起きている間はほぼずっと作業みたいな生活を送っていました。完成した日も完徹かつ発熱状態で作業していたため、投稿前に仮眠をとったような記憶。深夜テンションでも通話に付き合ってくれたHOUSEさんに感謝。とはいえ、急ぎ足で作ったので作中でも粗が目立ちますね。特にモーション。

 前置きが長くなりましたが、そんな無茶苦茶な経緯で完成にこぎ着けたのでした。振り返ってみるとありえね~。

 

2. 世界観的な話

 本作は『Qual-Quaria』という5-7作品からなる予定のシリーズの3作目にあたります。前後の作品はまだ1つも完成していません。また、投稿順がバラバラな点についても、先述の通り進行状況の都合であり、特に深い意味はありません。次に出せそうなのは2作目かなぁ。このシリーズは今までの作品とは違い、後述する血液を操る能力を持つ人と冷気を操る人の2人を主人公とした物語になっています。

 前提として、今作は以下の世界観の下に成り立っていますので、その解説を。今までこういう話はほとんどしてこなかったので若干恥ずかしいですが、良い機会ですしね。というかここまできてまだ前座かい!しかも結構長いです。

 

2-1. 世界観の背景

 数百年前、突如として異能力を持った1人の子供と、それに連れ添う心身が変質したもう1人の子供(後にそれぞれ『花束』および『』と呼ばれるようになる)が現れ、世界のパワーバランスが一変。2人を悪用しようと試みる人々や排除を目論む人々、果ては国家間で激しい対立が起こり、なんやかんやあって(当時の研究者たちが能力者と共謀し世界を見捨てた/異能力を独占したがる各政府間の度重なる戦争 etc.)夥しい人々が死にました。また、繰り返される文明の破壊によって科学や様々な技術がほどほどのレベルに衰退。その後、花束は暗殺され、贄も消え、それに伴い戦争も落ち着いたものの、どういうわけか全世界の子供からランダムに異能力者が生まれるように。それらは潜在的な危険性から差別され、収容されては実験などで良いように扱われて殺処分されて……ということが繰り返されている殺伐とした世界です。そして、運良く難を逃れた一部の能力者たちは『箱庭』と呼ばれるコロニーを創って共同生活を送り、大人たちは協力して子供に教育を与え、時には悲運な能力者を助けるために暗躍したり、危険な思想を持つ能力者や一部政府とは致し方なく戦ったりという感じの生活を送っています。

 

2-2. 異能力って何

 異能力には主に空間に干渉するものと時間に干渉するものの2タイプがあり、例えば、水や炎を操る能力だと前者、傷を癒すようなものは後者になります。前者には強力なものとそうでないものとが存在し、多くは大した脅威になりません。しかし、稀に他者へ明確に危害を加えることができるほど強力な力を有する者が出現することがあるため、一般社会では特に危険視されています。後者の一部、例に挙げたような傷を回復させるようなものは人々にとって都合が良い能力とも捉えられますが、この世界では能力者は等しく差別対象です。こんなのがいたら医者の仕事がなくなるし医学も衰退しますからね。殺されるまでの時間は他の能力者よりは長いかもしれませんが、結末は同じです。この他、『心』に干渉する能力というのもありますが、それはまたいずれ…

 これらの能力は通常3-10歳のうちに身体のどこかに症状が発現することで発覚しますが(故にこの世界では子が10歳になるまでの親の精神的負担が凄まじい)、極稀に10歳を過ぎてから、更にレアなケースとして0-3歳の間に発現するという例もあります。そういった子供の能力は危険性が高いものがほとんどな上、発現時に本人の意思とは無関係に暴走を起こすことが多く、気付いた時には家族や周囲の人間が巻き添えを食らって死んでいた、なんてこともあります。そして、そういった強力な力を有する子供は共通して網膜への色素の沈着という症状が現れます。

 能力のエネルギー源は分かっていませんが、基本的に代謝により発生するものと考えられています。よって、エネルギー切れ等も各々の気力や体力の限界と同じという認識が一般的です。詳しくは作中の資料(p. 455)をご参照ください。

 

2-3. 箱庭での共同生活

 保護された孤児の多くは、まず最初に大規模な孤児院に収容され、最低限の教育を施されたのち、1-3年のうちに2-8人ほどからなる小規模な寮へと移されます。各寮には寮長兼教育係として21歳以上の大人が1人か2人付きます。その他、能力者の夫婦が善意で孤児を受け入れている場合も。親の愛を知らない、幼い時期に収容された子供ほどこういった大人のもとに優先して入れられます。また、学校等の教育施設もあります。大人たちはそれぞれが職を持ちますが、その他にも志願すれば戦闘部隊に所属することも可能です。しかし、これらの戦闘部隊の主な目的は収容所内で死を待つ罪なき能力者たちの救助活動などであり、一般社会や人々との対立や報復ではないため、基本的に殺しが固く禁じられています(敵対する危険な能力者など、やむを得ない場合は例外)。だからこそ、殺すまでもなく相手を無力化できるほどの力を持つ者のみが志願するよう呼びかけられています。とはいえ、完全に自己犠牲の精神で成り立っている上、稀に戦闘による犠牲者も発生することから、現在の運用体制に意義を唱える者も多く存在しています。流石に給与は良い。そりゃそうだ。

 

2-4. 箱庭以外の能力者たち

 能力者の共同体は箱庭の他にも各地に存在しており、一部とは作戦次第で共に行動することもあるほか、敵対勢力も存在します。とはいえ、共同体としての規模は箱庭が最大です。その他、収容時の処刑を免れ、兵器として政府に飼われている能力者も存在します。大体は身体をいじられたりしているため悲惨な姿になっています。イメージ的にはKBNもどきみたいな感じでしょうか。

 

2-5. 海と空の境界線

 このブログと2023年投稿作品のタイトルにもなっている不思議空間。前提として、能力者は完全には死ねません。肉体の死後、心(こころ:魂の概念に近い)のみが取り残され、海と空の境界線と呼ばれる狭間の世界の構成要素・エネルギー源となり、一部例外を除き無意識下で永劫縛られ続けます。ここは海のような、でも水でも固体でもない、透明と青色のタイルのようなもので埋め尽くされた、チェック柄の広大な地面と空でからなる青の世界です。タイル(?)の枚数はこれまでに死んだ能力者の人数の2倍とほぼ一致しており、2色のタイルが死人の心の光と影を表しています。上空の彼方には構造物が浮かんでおり、そこでは人が住めそうな部屋があります[海と空の境界線(2023)参照]。実際に人が住んでいるのかは謎。昼と夜の概念がありますが、周期は曖昧です。また、ここでは時間が通常のおよそ5倍の速度で流れています。『花束(最初の能力者)』に近い存在の極少数の能力者と贄のみがその存在を知っており、その他の能力者は基本的に境界線を知らないまま生涯を終え、構成要素として取り込まれます。

 私の作品のうち、水っぽい地面になっているもの、空の上の構造物で戦っているものは全てこの世界での出来事を描いています。先述の通り、水っぽい地面はあくまでも水っぽい何かであって水ではないため、力加減によってはひび割れたりもします。

 この境界線は元々あったわけではなく、過去に存在したある能力者とその親友の願いで生まれた…というお話もありますが、それはまたいつかの機会に。

 ちなみに一般人は死んだらそれまでです。死後の世界だのは存在しませんし、輪廻転生だのといったものもありません。ですので当然、この世界観に幽霊などは存在しません。

 

2-6. 贄って何

 『花束』に直結する極一部の能力を有する人物と精神的に強固な繋がりを持つことで心身が変質した者を『』と呼びます。能力者自体は肉体が朽ちなければ境界線に辿り着けませんが、贄となった人物のみ特定条件下(特に睡眠時)に合言葉を強く念じることで心を境界線に侵入させることができます。なお、起きている際にも特定条件下(非公開)で合言葉を直に口にすれば心のみならず身体ごと境界線に侵入することができる上、本人の意思次第では周囲の人間を巻き添えにすることもできます。つまり、心のみが行き着く概念上の空間ではない、実在する世界として境界線がある、ということです。贄の役割は精神的繋がりをもつ能力者と共に境界線と世界を繋ぎ留めること。各世代に1人存在する贄によって死んだ能力者たちの心が境界線に流れてゆき、この空間は成長していきます。なお、贄は基本的に同時に2人以上は存在できません。(p. 472参照)

『花束』の解説はまたの機会に。

 

2-7. これまでの作品について

 長ったらしくなりましたが、これまでに投稿したうち、今作を含む以下9作品が上記の世界観に準拠して制作されています。

  • 俤/紺碧の空(2018a)
  • 沁水の空(2018c)
  • Tethered Aqua_(2019)
  • 海と空の境界線(2023)
  • “Answer and oneirA̷_”(2025)

(以下、番外)

  • Another Aqua_ "space"(2016c)
  • Another Aqua_ "time"(2018b)
  • Another Aqua_ "singularity"(2018d)
  • Another Aqua_ "singularity" √NOX(2024)

 

3. 今作の登場人物と物語

3-1. 登場人物

フユ(本名不詳)

f:id:ap8vo:20260518165124j:image

 今作の主人公(1)。血液を操る。ほどほどに戦える。19歳。翡翠色の両目をもつ。未熟児の時点で能力が発現していた上に捨て子という超レアケースの能力者であったため、殺処分を免れて研究対象として施設内の特別室で育てられた。ナツとは同い年だが、姉のように慕っている。なんやかんやあって箱庭の能力者たちによって施設が制圧・解放されたため自由の身となり、ナツと共に箱庭へ。その1年後にはなぜか9ヶ月弱行方不明になる騒ぎを起こしたが、返ってきた本人も記憶がなく明確な原因は不明のまま。現在は箱庭内の寮で寮長兼教育係のレナ、ナツと共に3年ほど共同生活を送っている。一度だけ能力の暴走を起こしてナツを殺しかけたが、あと一歩のところでレナが止めに入り事なきを得た*。元いた施設では最低限の教育しか受けていなかったために倫理観がやや未熟だが、性格自体は非常に温厚。自分の両親と本当の名前を探している。血を操る能力も相まって自分の体をあまり大切に扱わないため、ナツにしょっちゅう怒られている。ちゃんと人間のデザインもある。本当の能力は『⃠時⃠間⃠』⃠。血液操作も形成能力というより時⃠間⃠操作によって空間中に存在する自身の血液量を変化させることによって行っている。が、本人は無自覚。自身の能力の真の暴走はナツを殺しかけた事件の以前、出生時に起きている。

*『Tethered Aqua_』

youtu.be2019年制作。実はそういう内容の作品でした。

 

ナツ(矢糸 夏芽:やいと なつめ)

f:id:ap8vo:20260518165109j:image

 今作の主人公(2)。冷気を操る。ぶっちゃけ弱い。これまでの出番もほぼない。19歳。臙脂色の両目をもつ。10歳最後の日に能力が発現して施設に収容された悲運な子。当初は他の能力者と同様に1ヶ月以内に殺処分される予定だった。しかし、同じ施設内で実験として特別室で管理されていた、当時はまだ近い年齢の人間との交流を持ったことのなかったフユの教育係としてあてがわれた。その後2年ほどを同室で過ごした後、共に箱庭へ。当初は得体の知れないフユをあまりよく思っていなかったが、現在では妹のように大切に思っている。なお、当時まだ名前がなかったフユに名前をつけたのもナツ。フユの行方不明時にはショックで塞ぎ込んでいたが、フユが戻ってきた現在は以前の調子を取り戻した。寮長のレナを尊敬し慕っている一方で、あまりの強さと、フユ以上に自身を顧みない無謀な戦い方に拭い切れない嫌悪感を抱いている。ちゃんと人間のデザインもある。言うことはわりとズバッと言うタイプ。戦うことは嫌い。というより、万一のことがあって2人がいなくなることを恐れている。フユと精神的に強く結びついたことで変性した贄。本人はその自覚がないため境界線の存在を知らない。

 

レナ(澄月 レナ:すみつき れな)

f:id:ap8vo:20260518165020j:image

 今作ラスボス。2018年以前の作品と『海と空の境界線』(2023)では主人公。電気を操る…のみでなく、青い炎と空間も操る三重能力者。なんだそれ! 藍色の右目と琥珀色の左目を持つ。25歳。とても強い。『Tethered Aqua_』(2019)の通り、暴走状態のフユ程度なら単独で圧倒できる。普段は寮長としてフユとナツの教育係をしており、その傍ら発電所で働いている。過去に散々な経験をしているため、人を喪う痛みに敏感であり、強く恐れている。そのため、強力な能力を持つにも関わらず特定の戦闘部隊などには属していない。しかし、収容施設から子供を救助するような作戦には自らの意思で参加することがある。フユと同様、基本的に自身を一切顧みない雑な戦い方をするため、ナツに心配されている。人間のデザインが公開されてる。旧姓は鏡(かがみ)。当時は電気を操る能力のみを有しており、生来の戦いを嫌う性格もあって特別強いわけでもなかった。6年前に死んだ■■との精神的な結び付きによって心身が変性した、この世代における真の贄。電気以外の能力は全て■■から引き継がれたもの。このうち空間を操る能力は花束とほぼ同等の極めて強力なもので、対となる能力以外ではどんな能力や兵器でも互角にすらならない。能力の根源と境界線の構造を理解しており、ほぼ自由に行き来することができる。定期的に単独で境界線を調査しており、そこで得た情報に基づき、ある人物と共謀することによって今作に繋がる事件を引き起こした。かつて双子を妊娠していたが、このうちの1人が早期に胎内で消失、もう1人は出産直後に行方不明となった。しかし、レナやその周囲の人間は共謀者による記憶改変でその当時の記憶を失っている。レナと共謀者の目的は境界線の◆◆、そして…

 

??(???? ??/??)

f:id:ap8vo:20260518165051j:image

作中の設定資料を参照。動かすのが一番楽しい。澄月 悠(すみつき ゆう)。死んだレナの恋人であり、境界線の管理者。『花束』との直接的な接点がある。

 

3-2. 『Qual-Quaria』あらすじ

 ある日「お母さんに会いに行く」という意味深な言葉をナツに残して行方不明となったレナ。彼女の過去を知るレナの姉をはじめとした箱庭のメンバーはすぐさま彼女の行方を捜索するが、なかなか足掛かりが掴めない。その数日後、『』を名乗る謎の研究者と共謀したレナが、国際政府(この世界の一般社会における最高機関)による今後の能力者への扱いを検討する会議に単独で乱入し、能力で会長をその場から消した上で最高幹部を皆殺しに(会長はその後『母』が射殺)。政府に兵器として管理されていた能力者たちや軍隊までもがレナを排除するために投入されるが、それらもあっさりと鏖殺。その様子は世界中に中継されており、その中でレナは「境界線を壊して皆を開放する」などという意味不明な宣言をする(未完#1)。当然、善性を持った能力者たち、特に箱庭のメンバーは全勢力を以ってレナの凶行を食い止めにかかる。箱庭の最高戦力たちはかなり善戦し、あと一歩というところまで追い込んだものの、最後には『花束』とほぼ同等の力を開放したレナにより返り討ちに(未完#2)。最後に残されたのは数年間レナと生活を共にしたフユとナツのみ。育ててもらった恩返しに一発ぶん殴って目を覚まさせよう!(今作#3)

 

4. 各場面の解説

4-1. 冒頭

f:id:ap8vo:20260519200107j:image

手に掛けた仲間たちの血溜まりの中に立つ魔女。このひとでなし!残された戦力はあと2人。

 

f:id:ap8vo:20260519200108j:image

f:id:ap8vo:20260519200110j:image

f:id:ap8vo:20260519200111j:image

いつもの生産者表示。Acphyはもちろん自分(ふかうみ)です。残酷な表現を含むし、今までの作品とは明確に違うという雰囲気を出すために別名義を入れてみました。ぶっちゃけこれは要らなかったかも。

背景には過去作品のうち『Tethered Aqua_』、『俤/紺碧の空』および『沁水の空』の3作品が流れています。先述の通り、これらは本作と同じ世界観に基づいて制作された作品です。

 

f:id:ap8vo:20260519200113j:image

多分一番印象に残りやすいカット。私もお気に入りです。『PRANA(プラーナ)』はサンスクリット語で生命力とかそういう感じの意味らしいです。本作のテーマにぴったりですね。

砕けている球体は『俤/紺碧の空』の冒頭および『沁水の空』のサムネに使われていたオブジェクトです。境界線からなんか人知を超えた力が流れ込んでいくみたいなイメージ。あと、このシーンでは左上腕に結ばれていた『楔(くさび)が右手首に移動しています。初出の概念なので一旦解説を挟みます。

 

4-1-1. 楔って何

f:id:ap8vo:20260519224251j:image

 作中によく登場する布のようなもの。よく包帯って言われてました。ここに書いてあることも重要なのですが、この楔は境界線のみでなく現実世界でも具現化でき、これが体のどこかに結ばれている者には境界線からの縛り(過剰な能力供給の代わりに心身が蝕まれる)が課されます。実際、過去作の『Tethered Aqua_』と本作の冒頭では現実世界にいるにも関わらず、レナの左上腕に楔が結ばれています。もちろん普通の人には見えません。また、楔の内側には逆十字のような杭が無数に配列されており、過剰に使用した場合はそれらが体内に食い込みます。構造と縛りの都合上、簡単には抜けません。楔を解く条件は基本的に相手か使用者が力尽きるかのどちらかのみです。作中で楔が青く染まるシーンが何度もありますが、その都度レナは楔を通して境界線からの供給を受けています。

 

本題に戻ります。

f:id:ap8vo:20260519200114j:image

なんか見たことない刀を振りかざすレナ。これはどこかの誰かの形見。同時に世界が境界線に塗り替わっていきます。

 

f:id:ap8vo:20260519200116j:image

境界線に呑まれるフユとナツ。ナツは現実に取り残されました。

 

f:id:ap8vo:20260519200117j:image

f:id:ap8vo:20260519200119j:image

相手が相手であるため最初から本気のフユ。頸動脈を切り、吹き出した血液を身に纏う。このデザインの元ネタはリュウグウノツカイRegalecus russelliiの腹鰭。リュウグウノツカイの腹鰭の突起はオール状ですが、流石にそこまでは寄せませんでした。急にそっち方向の自我が湧いてきたな?

 

f:id:ap8vo:20260519200120j:image

f:id:ap8vo:20260519200121j:image

タイトル。『oneira』はオネイラと読みます。意味はギリシャ語で『夢』。

その他の意味は前にTwitterで解説していたのでそのスクショを貼ります。雑だ。

f:id:ap8vo:20260520152831j:image

あと、タイトル下のパズルとハートはそれぞれ心の欠片と心(あるいは心臓)を表しています。

 

f:id:ap8vo:20260519200124j:image

きっと、私が――

何かを察したフユの台詞。

実はここ、3D機能をONにすると…、

f:id:ap8vo:20260518180055j:image

――貴女は、誰?

このように赤文字が浮かび上がってきます。赤字の台詞はレナが心のうちに秘めた言葉です。

彼女は以前からフユに対し何かを感じ取っていたようです。

 

4-2. 中盤

f:id:ap8vo:20260519200125j:image

空間を捻じ曲げてフユを吹っ飛ばしてます。この直後に地面が抉れます。水っぽいけど水じゃないよ~ってことを強調したくて入れたシーンです。結果的にここのみになってしまったけど、地面が抉れたり割れたりするシーンはもっと入れたかったなあ。

 

f:id:ap8vo:20260519200129j:image

楔が青く染まってるところ。同様の演出がたくさんあります。

f:id:ap8vo:20260519200128j:image

ここもそうですね。

 

f:id:ap8vo:20260519200131j:image

冒頭で触れた2年間の放置期間の要因となったフユの攻撃カット。

ここの元ネタですが、

f:id:ap8vo:20260519224929j:image

『俤/紺碧の空』のここ。単なるオマージュではなく、これにもちゃんとした意味があります。

 

f:id:ap8vo:20260519200132j:image

f:id:ap8vo:20260519200135j:image

空間改変。自分と相手の位置を入れ替えています。#1の国際政府の会議に乱入した際にもこの方法で自分と会長の位置を入れ替えたらしい。

 

f:id:ap8vo:20260519200134j:image

水柱の中で戦うカット。ここは確か22年の時点で下描きがありました。ちょっと雑になっちゃったなあ。元ネタってほど似てないですが、下描きと共に「スタァライト9話っぽく」って書いてありました。スタァライト、棒バト作者はみんな観よう!

 

f:id:ap8vo:20260519200137j:image

フユ覚醒。青い二重螺旋の触手が生え、足首にも楔みたいなモノが巻き付いていますね。

ここは#4以降で解説したい部分ですが、何年後になるかなあ。

 

f:id:ap8vo:20260519200138j:image

f:id:ap8vo:20260519200141j:image

ここらへんは次の展開に無理やり繋げるために描いたパート。全体的に雑すぎるしあまり好きじゃないです。この文もしかめっ面で書いてます。

 

f:id:ap8vo:20260519200142j:image

f:id:ap8vo:20260519200144j:image

青い炎をぶん投げて焼却。ここは『Tethered Aqua_』と同じですね。

f:id:ap8vo:20260519223919j:image

Tethered Aqua_より。

 

f:id:ap8vo:20260519200145j:image

炎が回転しながら空に昇っていくシーン。ここはDSiのある有名な棒バトが元ネタになっているのですが、あろうことか作者名を思い出せず……。BGMがナイトオブナイツのやつ。分かる人がいましたら教えていただけますと幸いです。

 

4-3. 終盤

連日の戦闘と#2でそれなりに追い込まれていた上、覚醒したフユの姿を見て色々と察し、もう普通に戦っていては勝てないと確信したレナ。自身の目的を完遂するために覚悟を決めます。なんだかどっちが主人公かわからなくなってきたな?

f:id:ap8vo:20260519200147j:image

f:id:ap8vo:20260519200151j:image

右手首に結ばれていた楔が伸びて刀に巻き付き、

f:id:ap8vo:20260519200150j:image

自分の心臓に突き刺す。代償の大きい覚醒はロマン。

 

f:id:ap8vo:20260519200153j:image

心臓から夥しい血が噴き出すと共に、それが彼岸花の形を形成。地面に浸透したものは青一色だった境界線を濁った朱に染めていきます。また、同時に傷口から現れた大量の楔がレナに襲い掛かります。この時点でレナはもう自力で立てる状態ではありません。あーかわいそう!(桜井政博) 赤い彼岸花の花言葉は『悲しい思い出』だそうです。出典はわからん。軽く調べたところ、花言葉には明確な定義がないらしいです。言い出したもん勝ちの文化がすぎる。

 

f:id:ap8vo:20260519200155j:image

f:id:ap8vo:20260519200157j:image

3Dシーンが描けず人間も動かせない作者による表現の限界。一人称視点の境界線。景色にノイズがかかるのはレナの意識が途切れ途切れになっていることを表現しています。体には楔が巻き付き、ここではわかりませんが全身に逆十字の杭のようなものが打ち込まれています。前方のフユも膝を付いており、かなり限界に近い状況。

 

f:id:ap8vo:20260519200158j:image

美しかった青の世界は血で染まった悲劇の舞台へと変貌を遂げました。

真っ白に染まる彼岸花と全身に楔が巻き付いたミイラのような姿のレナ。白い彼岸花の花言葉は『また会う日を楽しみに』だとか。

ここで登場する首なし人間は過去のレナたち。一人一人が相当な強さですが、本人が弱っているため持続時間は短いです。それぞれが1-2回の攻撃で退場しています。

f:id:ap8vo:20260519200200j:image

f:id:ap8vo:20260519200201j:image

f:id:ap8vo:20260519200203j:image

f:id:ap8vo:20260519200204j:image

ここらへん、地面の血液っぽさを出すためにややべっとりとした重みのあるエフェクトになるよう意識していました。

 

f:id:ap8vo:20260519200206j:image

本作で一番好きなページ。一瞬だけ彼岸花の形になる血飛沫。深夜にこのネタが降ってきたときの「勝った」感。このページを描いた時にこの作品は間違いなく完成させられると確信しました。

 

f:id:ap8vo:20260519200208j:image

ここで楔の内側からフユを貫いたのは『鎖』。楔単体よりも強力な拘束力を持ちます。めちゃ痛そう。このあたり、今までの私の作品にはなかった出血量ですね。ワールドうごメモギャラリーだったら削除されてそう。

 

f:id:ap8vo:20260519200209j:image

影の中で拘束されたフユ。

 

f:id:ap8vo:20260519200212j:image

えっ誰!?

 

f:id:ap8vo:20260519200213j:image

なんだかさっきの人に力を貰ったらしいです。ハートが2つある理由はいつか分かります。

背景の影は高校生の頃に望遠鏡で撮影して素材として残していた月の海です。昔はカメラマークを消すバグがあったのでそれを利用して作ったような。

f:id:ap8vo:20260519223947j:image

元画像。

 

f:id:ap8vo:20260519200214j:image

フユ覚醒。やべー女を止めるために頑張れ~。このデザインも22年時点であったような?

ちなみに、フユの楔は直に脚と結ばれていません。直に接触せずとも境界線のエネルギーを供給できるように何らかの力(足首まわりの青色のトーン)で護られています。腕に巻かれてるのはよくわからん。でもかっこいいから良い!

作品としてはあとほんの少しなのに、ここら辺が一番の苦行でした。ここからラストシーンまでで丸3日くらいかかったと思います。細ペンで整った曲線を作る作業ってDSiでは結構楽だったんだけどなぁ。

 

f:id:ap8vo:20260519200216j:image

ラストスパート!!画面分割はロマン!!終わりのデザインと終わりのデザインによる地獄の作業量!!しんどかった以外の記憶がありませんが、終盤にここまでわかりやすく盛り上がる作品を描けたのは本当に良かったです。お気に入りのカット。

 

f:id:ap8vo:20260519200218j:image

f:id:ap8vo:20260519200222j:image

f:id:ap8vo:20260519200221j:image

f:id:ap8vo:20260519200224j:image

複数の方からどうやって描いたのか聞かれたカット。ここのトーンは『Tethered Aqua_』、『沁水の空』、『俤/紺碧の空』および『海と空の境界線』のそれぞれのサムネを反転させたり変形させたりかすれ消しを重ねたりして作ってます。

 

f:id:ap8vo:20260519200225j:image

楔の先端の翼とフユ自らの意思で生成した血の翼で彼岸花を斬り裂いてトドメ。お疲れ様でした。

 

f:id:ap8vo:20260519200228j:image

哀しい思い出に染まった赤の世界とはさようなら。一緒に帰ろう。

 

f:id:ap8vo:20260519200227j:image

境界線の内側にドボン!!やっぱ水じゃん!(水じゃないです!)

ここは海に潜っていた時の景色を思い出しながら描きました。自分が素潜りで余裕を持って潜れる水深が大体5 mくらいなのですが、これくらいの海底から海面を見上げるとこんな感じで陽光が揺れていてすごく綺麗なんですよね。書いてたらだんだん潜りたくなってきたな…。

 

 

以上が“Answer and oneirA̷_”の概要です。ここまで読んでくださった方、お疲れ様でした。

 

おわりに

 改めて評価してくださった皆さん、ありがとうございました。ここまで頑張って描いた作品はワールドうごメモギャラリーのサ終直前に投稿していた2本以来だったのでウケが良くて嬉しかったです。

 また、内容や文章の質はともかく、初めて創作の内容をこうやって公開することもでき、少し気が楽になったような?面白い面白くないは置いておいて、今後もこういう作品を作れたらなあと思っています。とはいえ、去年と違って今年はずっと忙しいため、今年度の作品投稿は厳しいかなと。また、うごメモや棒人間で今までの内容を表現することに関してもかなり限界を感じているため、今後はうごメモ以外のツールへの移行も考えています。このあたりは時間ができたらゆっくりやりたい。創作自体を辞めるつもりは一切ないので、今後も見て下さる方がいるのであれば、のんびりお待ちいただけますと幸いです。

 

では、またどこかで。